ブラック・スワン@新宿バルト9
2011.05.20 | Movie
「π」「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督作。ナタリー・ポートマン主演「ブラック・スワン」。
世間の評判と魅力的なアートワークで、既に良作の匂いがプンプンしていたが、その予想を遙かに超える傑作だ。
本作でナタリー・ポートマンはアカデミー最優秀主演女優賞を受賞したが、それも納得。
バレエ団でプリマに抜擢された主人公、ニナを演じる彼女の鬼気迫る演技は、過去に観た素晴らしい演者達を忘れさせてしまうほど圧倒的だ。
「白鳥の湖」における"白鳥"は完璧だが、もう一つの面である「王子を誘惑する"黒鳥"」を表現できないニナが、見事な"ブラック・スワン"と化すまでの葛藤を、スリラー要素を織りまぜながらスピーディーに描いていく。
主要登場人物はいるけれども、スクリーンに映るのは9割方ナタリー・ポートマンだ。
彼女の動きを限りなく接写に近い形で追うカメラワークが、緊張感を生み出していると同時に、バレエシーンや××シーンをはじめ、「身体」が持つ美しさや脆さをこれでもかと写しだしている。
そんなむき出しの演技・映像に圧倒されながら、ラストの展開でそのカタルシスは頂点に達する。最後の20分間、"鳥"肌立ちっ放し。エンドロールの入り方も最高だ。「完璧だった」とは、ニナ自身だけでなく、ポートマン自身、作品自身にも言える。
バレエという題材が持つ凛とした雰囲気と、スリラーの暗さや緊張感が見事に溶け合っている。極上の映画体験ができること必至。
エンジェル ウォーズ@新宿バルト9
2011.04.16 | Movie
※ネタバレあり
「300」「ウォッチメン」のザック・スナイダーが、初のオリジナル脚本で手がけたアクション映画。原題は「Sucker Punch」。
「ウォッチメン」のハンパない原作再現っぷりで一目置いていた監督なんだけども、原作ありの映画だけ撮ってきたスナイダーがついにオリジナル脚本ということで、これは観とかなあかん!と思い公開日にGO。
「金髪美少女+セーラー服+日本刀」というB級な設定を、A級の映像で魅せるという、いってしまえば既出感満載、そして地雷感バリバリだったわけだが、結論から言うと本当に地雷でしたw
両親を亡くし、継父のもとで虐待をうけて過ごす少女:ベイビードール(エミリー・ブラウニング)は、継父への反抗が原因で精神病院に入れられてしまう。自由を求める主人公は重層構造の空想世界を作り出し...物語は展開していく。
空想世界では5人の少女が様々な武器を駆使し敵をなぎ倒していく。ミッションをクリアしたら空想終了。というパターンで進んでいくRPG的な展開。
ミッションの内容は全て空想前(正しくは空想一層目)の世界とリンクしている。舞台は、日本の寺院、ドラゴンの住む城、第二次大戦、未来都市と、まさに「ステージ」と呼びたくなるものだ。
ここまでだとなんかGANTZっぽくて面白そうだが、観客のニーズってものを分かってない致命的ないくつかの欠点のせいで台無しに。
特に"終盤のキス"は多くの観客のブーイングをくらうであろう、酷過ぎる展開。この手の美少女ヒロインものでパンチラの1つもなしに少女の身体的魅力を避けたあげく、フリまでついたキスをあろうことか"道具"として終わらせるとは...。ザック・スナイダーは究極のドSか、とんでもない女卑野郎に違いない。
肝心のアクションはというと、ド迫力のCGにスナイダーお得意のスローモーションと早回しを駆使したアクションがわんさかと詰め込まれていて、見栄えという意味では素晴らしい。が、ちょっとゴタゴタしすぎて何やってるのか分かりにくいのも否めない。
ウォッチメンでは、アクションがシンプルで少人数のため生じる迫力不足を、この手法でカバーすることで上手く機能しているが(冒頭、コメディアンの格闘シーンなんか最高)、本作や「300」のような"無双"式のアクションではうまく機能してない気が。あと「抜刀」や「ドラゴン串刺し」もなんかお決まりすぎてちょっと物足りない。もう少し工夫して欲しかったところ。ドラゴンの体内ほじくりは新鮮だった。
ラストは自己の確立みたいな話になっていくが、ベイビードールの自己犠牲が結局そのメッセージに繋がっていかない為、メッセージも雰囲気だけのものになっている気がする。
前述の「ステージ」へのワクワク感をはじめ、"画"としては非常に楽しめる作品だ。あとUSオルタナ育ちとしてはPixiesの"Where Is My Mind?"の変なカヴァーがあって違う意味で楽しめたり。
ということで、スナイダー監督の過去作が良かったのは、やはり原作の面白さによるものだと実感。



